経過観察は最強の検査・治療法!

今回も一般の方向けの記事です。
実は「経過観察」は、とても優れた検査手段であり、治療手段であるというお話です。

 

目次>
1.「様子を見ましょう」の真相

2.経過観察は最強の検査手段
3.経過観察は最強の治療法
4.良医こそ経過観察を有効に使う

「様子を見ましょう」の真相

体調が悪かったり、心配なことがあって、医師に診てもらったときに

「様子を見ましょう」

と言われて、モヤッとした経験、ありませんか?

「診断はっきりしてくれよ…」
「何もしれくれないのかよぉ…」

って、思いますよね?
その気持ち、とてもよくわかります!

でも実は、「様子を見る(経過観察)」というのは、非常に理に適った、素晴らしい判断なんです。
では、詳しく解説しますね。

経過観察は最強の検査手段

医者の本音をいいます。
実は、診察をしてみても、本当に病気なのか、病気だとしたらどんな病気なのか、はっきりしないことは、珍しい事ではありません。

例えば、寒気がして、咽と頭が痛いという風邪症状で患者さんが受診されたとします。熱はありません。
さて、診断は何だと思いますか?

この時点では、確率から考えると、一般的な風邪(ウィルス性急性上気道炎)である可能性が高いけれど、確実に急性上気道炎かどうかはわかりません。

さて、この患者さん。
その日の夜になって38.5℃のお熱が出ました。

この時点では、果たして本当に急性上気道炎なのだろうか?と疑いますよね?
インフルエンザかも知れないし、扁桃腺炎かもしれないし、新型コロナウィルス感染症かも知れません。

このように、経過を見ていく中で、よりはっきりした症状が出て来て、最初の診断を見直さないといけないことは、実は日常茶飯事に起こっています。

おそらく、最初に来院された時点で、やみくもに検査をしたところで、診断をつけることは困難だと思います。

このように、経過を見ることによって、症状がよりはっきりしてしてくるし、検査の異常値がはっきりしてくるため、正確な診断に辿り着ける確率があがります。

経過を見るだけなら、レントゲンやCTなどのように放射線被曝はありませんし、痛い思いをして血液を取られる必要もありません。
お金もかかりません。
経過観察は、最強の検査手段と言っても過言では無いと思います。

経過観察は最強の治療法

もう一つ、よく経験することがあります。
それは、経過を見ているうちに、自然に症状が消失して、治っていかれるケースです。

軽い誤嚥性肺炎なども、何もしなくても自然に治ることもあります。

だとしたら、敢えて薬を飲んだり、痛い思いをして注射をする必要はありません。
お金もかかりません。
自然に治るのなら、それが最強の治療法です。

 

良医こそ経過観察を有効に使う

経過観察の凄さ、ご理解頂けましたでしょうか?

経過観察というのは、悪化しないか、想定外の症状が出てこないか、などを注意深く経過を追って見ていくということであり、何もしないのとは全く違います。

いつまで経過を見るのか、どんなことに注意して経過を見るのか、どんなときは医師に診てもらうべきか、ということを、きっちりと説明した上でやるべきです。

そして、既に重症の兆しが見えている状態、放置できないほど辛い状態の時は、経過観察は御法度です。

診断がつかないとき、医師は、ひとまず、御法度ではないかどうかを判断し、考えられる可能性を想定し、患者さんに、どんなことに注意が必要かを説明して、経過観察をします。
それが、正しい経過観察です。

診断を放棄して、「経過を見ましょう」という医師ももしかしたらいるのかも知れません。
しかし、多くの医師たちは、無用な検査や無用な治療をしないための、最強の検査・治療手段として、「経過観察」を使っています。

「経過を見ましょう」という医師に対して、ちょっと心許ないと思われるかも知れません。
だけれど、しっかり注意事項を説明してくれて、経過を見るという判断をしてくれる医師は、私は信頼できる医師だと思います。