その基準値、信頼できますか?

さて、今回は、一般の方に向けて、検査の基準値についての面白い話題を提供したいと思います。

血液検査の結果みると、横に「基準値」というのが書いてありますよね?
そしてあなたは、自分の測定値と基準値を比較して、基準値の範囲に入っていれば、きっと安心するでしょう。
基準値から外れていれば、とても不安になることでしょう。

が、しかし!

その基準値が、本当に信頼できるのか、疑ってみたことはありますか?

 

健康な人の95%があてはまる数値が基準値

この基準値というのは、病気が無く健康であろうという人たちを集めて、調べて割り出した数値です。
数値が極端に高い人2.5%と極端に低い人2.5%を除外して、残りの95%の人が当てはまる範囲を基準値として定められています。
基準値を決める際の対象者には高齢者は対象に含まれていないのだそうです。

 

基準値は本当に信頼できるのか?

結論からいいますと、ある程度は信頼できるけれど、鵜呑みにしてはいけないということです。
特に高齢者は、基準値はあまりアテにならないと思って頂いたほうがよいでしょう。

さて、では、解説していきます。
前述の通り、健康な人であっても、基準値よりも高い人や低い人が実際にいるわけです。
そして、「健康な人」として基準値の計測に参加した人の中にも、もしかしたら病気を持っている人が紛れ込んでいる可能性も否定はできません。

ここで言えることは、検査値が正常=健康、検査値が異常=病気とは、言い切れないということです。

もう一つ、大事な注意点があります。
性別や年齢によって、基準値は違っていると考えるのが、ごく自然ですよね?

現に、小児と成人では、基準値が違っている検査項目も実際にあります。
ALP(アルカリフォスファターゼ)という、主に肝臓や骨に存在する酵素が、小児では成人よりも基準値が高いことは、医学部の講義でも教わるくらいの基本的な事実です。

貧血の検査である、血色素量も、男性の方が女性よりも基準値が高く設定されています。

コレステロール値は、男女でも基準範囲が違いますし、女性では特に閉経前後で、大きく変化することも常識として知られています。
それなのに、基準値は、全年齢一緒、男女一緒として記載されています。

クレアチニン値といって、腎機能を評価する検査値なども、男女や体格によって基準値が大きく違うはずです。
というのも、クレアチニンというのは、筋肉に含まれる成分であり、その人の筋肉量が多ければ、高めに出ますし、筋肉量が少なければ低めにでるのです。

このように、年齢や性別によって、基準値は変化するはずなのに、多くの検査値は、性別や年齢別の基準値が掲載されていないのが、現状です。
このあたり、もう少し詳しく知りたい方は、日本臨床検査標準協議会 基準範囲共用化委員会 の資料を見てみてください。

年齢や性別によって基準値が変わって然るべきとうことが、解っているのに、検査結果報告書には印字されないし、一般に周知されていないのはなぜでしょうか?

軽微な異常を見つけるために健康診断をして、できるだけ多くの人を薬漬けにしたい誰かがいるのだろうかと、勘ぐってしまうのは、ひねくれ者の私だけでしょうか?

 

基準値とどうつき合うか?

まず、基準値の決め方自体が、100%信頼できるものではなくて、良くても95%くらいの信頼度であるということを認識した方がよいと思います。
そして、全年齢、男女の区別無く、同じ基準値で判断すること自体が、現実的では無いと、私は思っています。

検査値の判断は、その方の性別、年齢、体格や、病気のリスクも含めて総合的に判断しなければならないと思います。

私のブログの前の記事「森を見て木を判断しよう」でも、個別の数値にとらわれず、俯瞰的に捉えることの大切さをお伝えしております。
是非とも、こちらの記事も合わせてご覧下さい。