リモートワーク やってみた

今回は、リモートワーク導入を検討されている、在宅医療・介護従事者の方に向けて、当院の取り組みを紹介したいと思います。

当院では2020年2月末から、準備をすすめ、2020年5月13日の今現在も試行錯誤をつづけながら、リモートワークをすすめています。

現在、事務スタッフは、体調に軽度の感染症症状がある者、COVID-19罹患者との接触が疑われる者、家族に感染症症状がある者は、原則リモートワークをしています。
院長である私も、診察以外の業務は、可能な限り、自宅で行うようにしています。

まずは、私たちが、リモートワークを導入するにあたり、課題となったことを挙げます。
そして、それらをどうやってクリアしてきたかをご紹介致します。

 

課題となったこと
1.ペーパーレス化
2.院内の情報共有・コミュニケーション・業務分担
3.情報漏洩対策
4.外部との連絡
5.勤怠管理

活用しているツール(ページ内リンク)

セコムOWEL(電子カルテ)

faximo(インターネットFAX)
ZOOM(ビデオ会議)
ChatWork(ビジネスチャット)
beat(セキュリティ機器)
MCS(医療・介護専用SNS)
050プラス(IP電話)

それでは、順番に、課題の詳細と、私たちの取り組みを紹介します。

1.ペーパーレス化

リモートワークを行う上で、最大の課題がペーパーレス化です。
電子化しないかぎり、リモートワーカーが速やかに情報にアクセスできません。
加えて、「紙」という媒体を、手渡しでやりとりすることは、接触感染のリスクになり得ます。

私たちの解決策を3つご紹介します。

クラウド型電子カルテ(セコムOWEL)

新型コロナウィルス流行前の、2019年12月に導入しました。
選択の理由は、クラウド型であることに加え、スマホやタブレットでも操作可能である点が一番の理由です。
また、”OWEL”はインターネットFAXにも対応しており、紹介状や処方箋を、スマホで作成して、そのままFAXが可能です。
今回のリモートワークでも大きなアドバンテージになりました。

インターネットFAX

2010年の開院以来、”faximo”というインターネットFAXサービスを利用しています。
診療で院外に出ていることが多い、私のワークスタイルにとって、緊急の検査結果などが、メールとして着信して、スマホで見られる環境は非常に便利です。
リモートワーク中のスタッフも、容易にFAXの送受信ができました。

pdfでレセプト点検

従来は、レセプト点検は、紙に出力して、チェックや付箋を付けながら行っていました。
リモートワークの開始に伴い、紙を使わずにやってみたのですが、誰がどこをチェックしたのかがわからず、苦労しました。
そこで、pdfファイルに出力して、pdf編集ソフトでメモを書いて行くことにしました。
現在試行錯誤中です。

未解決の課題

患者さんへの領収書、他の医療機関への紹介状、処方箋、訪問看護指示書、主治医意見書などは、未だ紙の原本が必要な状況です。
これらは、今後の改善を期待します。

 

2.院内の情報共有・コミュニケーション・業務分担

出勤している事務スタッフの業務軽減のため、事務所への電話着信は、リモートワーク中のスタッフの携帯電話に転送することにしました。
診察現場やクリニックの事務所では時々刻々と状況が変化して、課題やタスクが発生します。
電話を受けるリモートワークのスタッフと、事務所にいるスタッフとで、情報や空気感の共有のしづらさが、浮き彫りになりました。

そこで私たちが取った対策は、事務所とリモートワークスタッフとの”ZOOMでの常時接続です。


これと”ChatWork”により、診察現場、事務所、リモートワークスタッフの、連携が非常にスムーズになりました。
また、時々登場する、リモートワークスタッフのお子さんとの会話も、適度な息抜きと癒しになっています。

お互いが、サポートしやすいように、各自が今どんなタスクに取り組んでいるのかを、朝、昼にChatWorkというビジネスチャットツールで共有しています。
そうすることにより、突発的に発生したタスクの割り振りが、とてもやりやすくなりました。
相手の手を止めないように、急ぎではないやりとりにも、チャットワークを活用しています。

 

3.情報漏洩対策

リモートワークをするには、業務用のPCを自宅に持ち帰り、インターネットに接続する必要があります。
そこで問題になるのがセキュリティです。

当院では、本年2月より、富士ゼロックス社の”beat“という院内のファイアウォール機器を導入しています。beatは、院外から、VPNという安全性の高い通信方法で、院内のネットワークに接続できます。

リモートワーク中のスタッフは、一度beatに接続して、beatに守られた環境から、安全に電子カルテの操作や、インターネット閲覧ができます。
加えて、院内に設置してる複合機から印刷したり、同じく院内に設置してるネットワークハードディスク(NAS)のデータの操作ができるようになっています。

 

4.外部との連絡

連携先などとの連絡手段として、MCS(メディカルケアステーション)をフル活用しています。
しかし、今なお電話は重要な連絡手段です。

代表番号は据え置き電話になっています。
ただでさえ、業務が集中する出勤スタッフが、電話の応対に時間をとられることを避けたいと考えました。
そこで、電話転送サービスを使って、リモートワーク中のスタッフが電話応対をすることにしました。

ここで生じた問題は、電話をかけ直す時に、プライベートの携帯電話からになることです。
通話料の負担の問題が生じますし、相手先には各自の私用の電話番号が表示されて、不審な電話と勘違いされかねません。

そこで、今回”050プラス”というIP電話サービスを導入することにしました。
050プラスで、電話番号を取得して、電話応対するスタッフが交代で、その番号を利用すれば、通話料の問題も、私用電話の番号による問題も解決出来ます。

 

5.勤怠管理

最後に、勤怠管理について触れておきます。
リモートワークの場合、出勤時間、休憩時間、退勤時間を把握することは困難です。
そこで、当院では、リモートワークのスタッフは、就業規則の「事業所外勤務の条項」に基づいて、定時出社・定時退勤の扱いとすることにしました。

その代わり、朝と昼のタスク報告、そして終業時の業務報告をしっかりしてもらい、きちんと業務をしていたかを評価しています。
また、ZOOMの常時接続により、極端に業務をサボることはできない状態となっています。

本来のリモートワークであれば、時間の裁量権は労働者の側にあり、成果によって労働を評価されるべきでしょう。

しかし、これが活かされるのは、単独ですすめられる業務が大半を占める場合だと思います。

医療機関では、当日発生する突発的なタスクも多く、リモートワークスタッフには、常に現場とコミュニケーションを取りながら、診察現場や事務所のスタッフをサポートすることが求められます。

ですから、成果とともに、勤務時間内に働き、診察現場のサポートや、他のスタッフとの協業を評価することにしました。