コロナ禍が医療にもたらしたもの その1

若い方は記憶にないと思いますが、
私や私より上の世代の医師が
「医療崩壊」と聞くと、

2006年に虎の門病院の小松秀樹先生執筆の著書「医療崩壊〜立ち去り型サボタージュとは何か」を思い出します。

当時の日本の医療をめぐる情勢は、
医療への過剰な期待や
モンスターペイシェントによって、
救急医や
小児科医・産科医・外科医など、

訴訟リスクが高い診療科の医師が、
軒並み地方の病院から撤退する現実を告発したものでした。

2002年に医師として駆けだした、
私自身の勤務医時代の経験としても、
当時の住民と医療の関係性はとても辛かった記憶があります。

 

しかし、今、マスメディアでしきりに使われている「医療崩壊」という言葉は、意味合いが全く違っています。

新型コロナウィルス感染の流行に伴い、医療需要が供給を大幅に上回り、医療がオーバーヒートして機能不全に陥ってしまう状況を指しています。

とても印象的かつ象徴的だったのは、
去る4月8日に安倍総理が発出した緊急事態宣言の会見で、
冒頭に医療従事者への労いと感謝の言葉を述べられたエピソードです。

イギリスや香港では、
夜になると、地域の住民が、病院で働く医療従事者に向けて、
拍手でエールを送る、クラッピング(拍手)運動が湧き起こっています。

YouTubeで、その光景を見て、
本当に胸が熱くなる想いでした。

※YouTubeのリンクは↓
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200327-00169918/

自分の健康は自分で守る、
そして、地域の医療機関は地域の住民で守る、
そういう大きな潮流ができていると思います。

新型コロナウィルス禍は、
間違いなく私たちにとって良くない出来事です。
しかし、地域住民と医療の関係性が、
良い方向に歩み始めた、
きっかけをつくってくれたことは、
前向きに捉えたいと、私は思います。