終末期の退院 一度きりのチャンスを逃すな!

がんなどの終末期の患者さんが、
退院前に体調が悪化し、
退院のタイミングを逃してしまったというケースを、
少なからず経験します。

その度に、残念に思います。

 

ですから、
終末が迫った患者さんの訪問依頼が来たときは、
私はその日にでも退院されてもOKだし、
その日に初診に行くくらいの心づもりでいるようにしています。

 

今回、
私が住民の皆さんにお伝えしたいことは、
自宅療養の意思を固めたら、
1日でも早くの退院を目指した方がいいと言うことです。

 

その理由は、
がんなどの終末期の場合、
病気の特性として、
基本的には時間が経つにつれて病状が進行したり、
体力が衰えていくからです。

つまり、
先延ばしにすればするほど、
容態が悪化したり、
予想外の急変が起こって、
退院できなくなるリスクが高まります。

 

実際に私が経験した事例から、
退院できなくなってしまう理由を3つあげてみました。

 

理由1 治療に欲が出てしまう場合

病院側のスタッフとしては
「少しでもよい状態で退院させてあげたい」

という、
すごく良心的な判断から、
つい治療に欲が出てしまって、
退院時期が先に延びてしまうことがあります。

患者さん本人も、御家族も、
もう少し良くなるのではないかという期待を抱かれるのも自然な事だと思います。

 

理由2 病院側スタッフが、在宅側スタッフや患者家族に配慮しすぎる場合

例えば
「週末の退院となると在宅側の負担が大きくなるので、週が明けてから退院を」

と言った、
こちらもまた良心的な配慮から、
退院時期が延びてしまうことがあります。

 

理由3 準備に時間がかかりすぎてしまう場合

終末期での退院となると、
吸引が必要だったり、
点滴や麻薬の管理が必要だったり、
自宅の片付けや工事が必要だったり、
食事についての学習が必要だったりと、
退院に向けての課題が多くなります。

退院前のカンファレンスの日程がなかなか調整がつかず、
時間をいたずらに費やすこともあります。

 

これらの理由で、ついつい、
時間がかかってしまって、
その間に患者さんの容態が悪化するという経験を何度もしています。

 

こういう悔しい経験をしているからこそ、
私は、
終末が迫っている患者さんは、
退院の話が出たその日の退院でも受け入れる覚悟をもって、
仕事をしています。

 

準備はどこまでやっても完璧ということはありません。

実際に退院して生活してみてはじめて見えてくる問題も必ずあって、
どのみち退院後にも
治療や療養環境、サービス内容の調整が発生します。

ですから、
100点の準備に時間を費やすよりも、
60点とか70点でスタートして、
走りながら調整した方が、
より現実的で効率的だと考えています。

 

患者さんや御家族の漠然とした不安は、
どうやったって退院前に解消することはできません。

実際に在宅療養をしていく中で、
経験を重ね、
実績を重ねて解消していくものなのです。

 

そのことを承知していますから、
退院後はこまめに診察に行きますし、
往診要請があったときは、
軽度の事であっても往診するように心がけています。

自宅で対応出来た、
乗り切れた、
対処法がわかった、
という経験を重ねていくしかないのです。

 

私の経験上、
準備不足で困ったケースよりも、
退院のタイミングを逃してしまったケースの方が圧倒的に多いです。

私を含め病院や在宅のスタッフは、
沢山の経験をしてきているのでこういったことがわかるのですが、
患者さんや御家族にとっては初めての体験であることが殆どです。

そして、
患者さんにとっては、
やり直したり、
次に活かすということができません。

一度きりのチャンスなんです。

だからこそ、
ここで伝えておきたい、
そう思って、
ブログの記事にしたためました。