介護を活かす!在宅医の役目

在宅医の役割について、考えさせられる事例を、ちょうど同じ時期に複数経験しました。

具体的なことは書けませんが、少し抽象化して書いてみます。

 

高齢者の方は、怪我や肺炎、関節炎、入院治療などによる安静臥床によって、病気そのものではなく、体を使わないことで身体機能が低下してしまうことがよくあります。

これを、廃用症候群といいます。

 

病状変化をきっかけとした廃用症候群の場合、低下した日常生活動作(ADL)に応じて、どんどん、介助する場面や動作が増え、介護サービスの量も増えていくことが往々にしてあります。

介護量が増えれば増えるほど、さらに患者の日常生活動作能力は低下し、さらに介護量が増えて、いわゆる”寝たきり”になってしまうという悪循環に陥ります。

 

優秀な介護職さんならば、患者が自分でできること、できないことをしっかり評価し、余計な手出しはしないようにして、可能な限り自立を支援してくださるハズなんです。

介護の最終目標は、患者が自立して、介護が不要になることです。

 

では、なぜ、介護量がどんどん増えてしまうのか?

 

おそらくは、介護されるご家族や介護職の方は、病状が把握出来ず、どこまで患者に負荷をかけてよいかのわからず、不安がおおきく、つい過保護気味になってしまっているのではないかと、私は推測しています。

 

ここに、在宅医の大事な役割があると思っています。

 

つまりは、ご家族や介護職さんが、安心して、患者の力を引き出す介護ができるように、状態を見極めてバックアップしてあげるのが、在宅医の役割だと思っています。

訪問診療がスタートする時は、結構、上記のように、悪循環に陥って、ADLがみるみる低下してくる方が大半です。

 

病状が悪化して動けないのか、それとも、病状は安定しているのに、廃用症候群で動けないのか?

 

病状が安定しているとしたら、患者にはどれくらいの能力があって、どの程度まで負荷をかけても大丈夫なのか?

 

これらをしっかり評価して、判断して、介護やリハビリの道筋を示すことで、ご家族や介護職さんが、安心して力を発揮できるようになります。

結果として、状況が上向くことも、少なくありません。

 

とかく、医療関係者は病気を見つけては、「あれはダメ」「これはダメ」と制限をかける傾向にあると思いますが、むしろ「ここまでなら大丈夫」という範囲を示すことの方が、大切なのではないかと思います。