在宅介護は大変か?

単刀直入に言えば、答えは「YES」です。

 

重度では1日の半分以上を介護に費やす

こんなデータがあります。

※参照サイト
[在宅介護の限界点は? 親子の共倒れを防ぐために|介護のコラム|老人ホーム検索【探しっくす】](https://www.sagasix.jp/column/care/post-6/)

要介護5だと、半数以上の介護者が、終日介護に時間を費やしています。

要介護4以上では、半数以上の介護者が半日以上、介護に時間を費やしています。

 

私は3年前に、仕事をしながら、祖母を自宅で介護した経験を持ちます。

仕事としても在宅医療に10年以上、携わっています。
私自身の体験や、仕事の経験からも、上記のデータは実態に即していると感じます。

 

介護破綻を来さないための重要ポイント

私が、在宅医療をやっていくうえで、介護破綻を来さないために、重点的に対策を講じるようにしているポイントが3つあります。

1.排泄
2.夜間の睡眠
3.人間関係

状況によっては、もっと様々なポイントもありますが、多くの方に当てはまるポイントとして3つ挙げました。

それぞれについて、私の実体験も交えてお話します。
ここでは、介護者=ご家族と同義として話をすすめていきます。

1.排泄

実際に介護をしてみて、そして、在宅医として係わっていて、一番大変だと思ったのは排泄です。
理由は3つあります。

1)回数が多い
2)タイミングが読めない

3)トイレへのこだわり

1)と2)については、介護保険制度の問題も関与しているのでまとめて解説します。

まずは、単純に、排泄のタイミングは予想ができないため、介護者のスケジュールが立てにくいです。

オムツならば、時間を決めて交換ということで、落とし所をつくることができますが、トイレの介助が必要な場合は、なかなか大変です。

介護保険制度で受けられる訪問サービスは、曜日と時間が決まっています。

必ずしもサービスの時間に合わせて、排泄のタイミングくるわけではありません。

夜間の定期訪問サービスも、出雲地域では受けられません。

ですから、どうしても、排泄のお手伝いは、介護者への負担が大きくなるのです。

私の祖母も、足腰が弱りながらも頻繁に大便に行きたがっていたので、何度も移乗介助をしたものです。

3)については、自尊心からくるものだと思います。

排泄を誰かの世話になるとか、オムツで排泄をするということへの抵抗感は相当に大きいものです。

私の経験した患者さんでも、亡くなる前日とか、当日とかも、フラフラになりながらも、トイレに行かれ、大騒動ということがありました。

 

2.夜間の睡眠

介護する者として、夜間の睡眠が充分取れないのも、かなりキツイです。

たとえば、夜間も痰の吸引が必要だったり、夜間のトイレ通いとか、夜間せん妄が出た時など、本当に辛い日々を送ることになります。

患者さんが、昼間、デイサービスに出かけている間に眠ればいいじゃないかと、思われる方もおられるかも知れません。

でも、寝られないんです。
昼は昼まで、やるべき家事や用事があったり、来客があったりします。

デイービスがない日でも、何かしらの他の訪問サービスが入っていて、訪問に来られた横で、寝息を立てるのは、申し訳ない気持ちになるものです。

夜間のお世話も、ショートステイというお泊まりサービスを利用する他は、介護保険サービスでは対応しきれない部分です。

 

3.人間関係

介護をする者の立場からしますと、自分の時間を削り、やりたいことの制約を受け入れて、患者さんのお世話をしています。

それでも介護を続けて行けるのは、患者さんからの感謝の言葉だったり、笑顔だったり、そういう心のつながりがあるから、頑張れるという面も、少なからずあります。

むしろ、どんな賞賛や報酬よりも、嬉しいことなのではないかと思います。

もともとの人間関係が良好でなかったり、認知症による被害妄想がでて、自分が攻撃の対象になったりするのは、本当に、本当に辛い気持ちになります。

短い期間の介護体験でしたが、せん妄によって悪態をつく祖母に対して、私の心の中で天使と悪魔が何度、格闘したことか…

 

 

介護者への負担のしわ寄せを何とかしたい

正直言って、私がひとりの在宅医として、診療の中で出来ることには限界があります。

一番の大きな問題は、在宅介護が介護者(ご家族)の介護参加なしには成立が難しいところです。

制度の問題なのですが、その根底には、人材不足と財源不足があると思っています。

夢物語の制度をつくったところで、実際にケアを提供する人材や設備に支払う財源がなければ、役に立ちません。

もう一つは、「介護は家族がするもの」という世間の中の暗黙の固定観念があるからではないかと思っています。

在宅介護をしていると、よい息子、よい嫁と言われ、老人ホームに預けると、肩身が狭い想いをする。

介護者には介護者の人生や生活があって、それは患者さんの人生や生活と等しく大切だと思うのです。

同時に、大変な中、大切な人のために、一生懸命介護をされている姿を尊敬します。

だけどもう少し、だからもう少し、介護者にも優しい在宅介護のかたちをつくっていくことが、私に与えられた課題だと思っています。